【完全版】配電盤と分電盤の違いとは?役割、種類、交換時期まで徹底解説!

コラム

皆さんは「配電盤」と「分電盤」という言葉を聞いたことがありますか?どちらも電気を管理する重要な設備ですが、その役割や設置場所、そして仕組みは大きく異なります。

普段、私たちが目にするのは、住宅の玄関や洗面所に設置されているブレーカーが並んだ箱、つまり分電盤です。しかし、その分電盤に電気を供給しているのが、ビルや工場といった大規模施設に設置された配電盤であることは、意外と知られていません。

この記事では、電気工事のプロが、配電盤と分電盤の決定的な違いを徹底的に解説します。それぞれの役割から内部構造、そして適切なメンテナンスや交換時期まで、この記事を読めば、両者のすべてを理解することができます。


1. 配電盤とは?大規模施設の心臓部を担う役割

配電盤とは、電力会社から引き込んだ電気を、施設内の各エリアや分電盤へと大まかに分配するための装置です。英語では「Distribution Board」と呼ばれ、文字通り「配電(電気を配る)」を主な役割としています。

配電盤は主に、高圧受電契約を結んでいる大規模施設に設置されます。具体的には、以下のような場所で目にすることができます。

  • 工場:生産ライン全体に電力を供給
  • オフィスビル:各フロアやテナントに電力を分配
  • 病院:各病棟や医療機器に電力を供給
  • 学校や商業施設:各教室や店舗に電力を供給

配電盤の主要な役割

配電盤が担う役割は、単に電気を配るだけではありません。

  • 電圧の変換:電力会社から送られてくる高圧の電気(例:6,600V)を、施設内で使用できる低圧の電気(例:200V)に変圧する役割を担います。
  • 電気の監視と管理:各回路の電流や電圧を監視するための計器類が組み込まれており、施設全体の電気使用状況を管理します。
  • 遮断機能:過電流や短絡(ショート)といった異常が発生した場合、回路を遮断して事故を防ぎます。

このように、配電盤は大規模施設の電力供給を統括する「司令塔」であり、その安全かつ安定した稼働を支える非常に重要な設備なのです。


2. 分電盤とは?私たちの生活に最も身近な電気の番人

分電盤とは、配電盤から送られてきた電気を、各部屋のコンセントや照明器具、エアコンといった末端の設備に細かく分けるための装置です。英語では「Consumer Unit」や「Load Center」と呼ばれ、文字通り「電気を分ける」ことが主な役割です。

配電盤とは異なり、分電盤は一般家庭や中小規模のオフィス、ビルの各フロアなど、私たちが日常的に利用する場所のほとんどに設置されています。

分電盤の主要な役割

分電盤の役割は、配電盤とは異なり、より細かく安全性を確保することに特化しています。

  • 電気の分配:主幹ブレーカーから、照明、コンセント、キッチン、エアコンなど、用途に応じた複数の回路に電気を分岐させ、各部屋に供給します。
  • 漏電の遮断漏電ブレーカーが内蔵されており、漏電が発生した際に自動で回路を遮断し、感電や火災事故を未然に防ぎます。
  • 過電流の遮断:各回路に設置された安全ブレーカーが、電気の使いすぎによる過電流を検知し、回路を遮断します。これにより、電線や電気機器の損傷を防ぎます。

このように、分電盤は私たちの身近な場所で、安全に電気を使用するための「見張り役」を担っているのです。


3. 配電盤と分電盤の決定的な違いを徹底比較

「配電盤と分電盤は同じもの?」という疑問を抱く方もいますが、両者は全く異なる役割を持っています。それぞれの違いを、以下の表にまとめました。

比較項目配電盤分電盤
役割大規模施設への大元の電力供給・配電各部屋やコンセントへの電力分配
設置場所大規模な工場、ビル、病院、商業施設など一般家庭、小規模店舗、オフィスなど
電圧高圧(6,600V)を扱うことが多い低圧(100V、200V)を扱う
規模比較的大きく、重厚な作り比較的小さく、家庭の壁などに設置
内部機器変圧器、遮断器、電圧計、電流計など漏電ブレーカー、安全ブレーカー、主幹ブレーカーなど
見かける頻度電気設備の専門家以外はほとんど目にしない一般家庭に必ずあり、目にすることが多い

電気の流れは、発電所 → 変電所 → 配電盤 → 分電盤 → 機器・コンセント、というように、上流から下流へと流れていきます。配電盤が建物の電気を「大まかに」分け、分電盤がそれを「細かく」分けるというイメージを持つと、両者の違いが分かりやすくなります。


4. 配電盤と分電盤の内部構造と主要機器

配電盤と分電盤は、その役割の違いから、内部に収められている機器も大きく異なります。

配電盤の主要な内部機器

配電盤の内部は、電気を「大まかに」制御・管理するための機器で構成されています。

  • 主幹ブレーカー:施設全体への電力供給を制御します。
  • 遮断器(VCBなど):高圧の電気を扱うため、安全に回路を遮断する大型の機器が使われます。
  • トランス(変圧器):高圧を低圧に変えるための機器です。キュービクル内に組み込まれている場合も多いですが、配電盤に内蔵されるケースもあります。
  • 計器類:電圧計や電流計、電力計など、施設全体の電力状況を把握するための計器が備わっています。

分電盤の主要な内部機器

分電盤の内部は、私たちの生活を守るための安全装置が中心です。

  • 主幹ブレーカー:家庭全体の電気を制御します。
  • 漏電ブレーカー(漏電遮断器):漏電を検知すると、瞬時に電気を遮断し、感電や火災を防ぎます。これは分電盤の最も重要な機能の一つです。
  • 安全ブレーカー(配線用遮断器):各部屋や特定の電気機器(エアコンなど)に接続された個別の回路を保護します。使いすぎで電気容量を超えると、その回路だけが遮断されます。
  • 予備ブレーカー:将来的な機器の増設に備えて、予備のスペースが用意されていることがあります。

5. 配電盤と分電盤の点検と交換時期:安全な生活のために

配電盤も分電盤も、私たちの安全な生活に不可欠な設備です。しかし、機器は時間と共に劣化し、思わぬ事故に繋がる可能性があります。定期的な点検と適切な時期での交換が非常に重要です。

分電盤の交換時期

一般家庭にある分電盤は、耐用年数が13〜15年程度とされています。以下の兆候が見られた場合は、交換を検討するべきです。

  • ブレーカーが頻繁に落ちる:特に、特定の機器を使っていないのに落ちる場合は注意が必要です。
  • ブレーカーから異音がする:ブレーカーから「ジー」という異音がする場合、内部の劣化が考えられます。
  • 分電盤が熱を持っている:触ってみて異常に熱いと感じる場合、過負荷や内部の故障が疑われます。
  • ブレーカーのツマミがゆるい:ツマミの操作感がゆるい、またはカチッと止まらない場合は、交換が必要です。

配電盤の点検と交換

配電盤は大規模施設に設置されているため、専門の知識を持つ電気主任技術者による定期的な点検が法律で義務付けられています。配電盤の寿命は20〜30年とされていますが、内部の機器はさらに寿命が短いため、計画的な点検・交換が不可欠です。


よくある質問(FAQ)

Q. 自分で分電盤を交換することはできますか?

A. いいえ、電気工事士の資格がない方が分電盤の交換や修理を行うことは、法律で禁止されています。感電や火災といった重大な事故に繋がる危険があるため、必ず専門の電気工事業者に依頼してください。

Q. 新築・リフォーム時の分電盤選びのポイントは?

A. 将来の電力需要を考慮し、余裕のある容量の分電盤を選ぶことが重要です。IHクッキングヒーターやエコキュート、EV充電設備など、高容量の電気機器を導入する予定がある場合は、事前に業者に相談しましょう。

Q. スマート分電盤とは何ですか?

A. スマート分電盤は、各回路の電気使用量をリアルタイムで計測し、スマートフォンなどで確認できる機能を搭載した次世代型の分電盤です。電気の「見える化」により、節電対策や家電の使いすぎのチェックに役立ちます。

まとめ:配電盤と分電盤は、それぞれの役割を担う電気の「守り人」

配電盤と分電盤は、どちらも私たちの生活に電気を届ける上で不可欠な存在ですが、その役割と設置場所には明確な違いがあります。

  • 配電盤:建物の大元の電気を管理・分配する「大動脈」
  • 分電盤:各部屋や機器へ電気を分ける「毛細血管」

このように、両者は電気の流れを安全かつ効率的に管理する「守り人」として、それぞれの場所で重要な役割を担っています。電気の安全な使用は、これらの設備が正常に機能することによって初めて成り立つのです。

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